夜中にコトコト音がするので起きてみると、
台所でネコが包丁をいじっていた。
ひっぱたいて止めさせると、
「怖い夢を見た」などと呟きしくしく泣いた。
夢もなにも、それで包丁をいくじるネコの方がずっと怖い。



今日ネコに、「お前を飼うのがイヤになった」と告げた。
ネコは最初冗談だと思ったらしくて、
「オゥマイゴッー!!」などと言って巫山戯ていたが、
私が表情を変えずに繰り返すと、マジだと気づいたようで、
「ホワットさんはそんなこと言っていない、
何時の隣人を愛せと言っている。」
と、また訳の分からないことを涙声で訴えてきた。
続けてホワットさんの真似をしだしたネコに、
「この家にはお前と私しか居ない、
よってホワットさんの要求は却下する。」
と申し渡した所、
「ホワットさんはいるよ、
みんなの心にいるよ。」
と目をキョトキョトさせていた。




歩くとき、背骨を丸め気味に歩き、
寝るとき、背骨を丸め気味に寝る。
ある日うぎゃおとこの世の物ではない音を立てた。
病院に連れていくと、
「背骨がずれてる。」と言われた。
それ以来ネコは海老ぞりに寝ている。




「ニキビが出来た、醜い」と言ってシクシクやるので
「毛で見えん」と慰めたら、
「毛がなきゃ生きていけない!
 なんて愛おしい毛!」と、大仰に泣き出した。
うるさい。



ネコが人の背中に寄りかかる。
うっとおしくってたまらない。

それでもネコははなれない。
たまにネコに、幸せを願ってしまう。

たまにネコに、幸せがあるといいと、願ってしまう。
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